うさぎが餌や牧草を食べてくれない、糞の量が少ない、下痢気味という場合には注意が必要です。
消化管うっ滞(毛球症)はうさぎがかかる病気の中で最も一般的で致死率の高い病気のため、ちょっと食欲が無いだけかな?では済まされないこともあります。
タイムリミットは2〜3日とも言われており、如何に病院に早く行くか、真夜中の場合どう対応すれば良いかが重要になってくるので、必要な情報をまとめました。
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消化管うっ滞とは
うさぎの病気の中でも最も一般的で致死率も高いのが毛球症でしょう。
何らかの原因で胃腸の働きが低下して起こる症状を消化管うっ滞と呼び、その中でも毛の飲み込みで胃腸の働きが低下した場合を毛球症と呼びます。
毛球症の他に、下痢や便秘、お腹にガスがたまる鼓腸症など症状は様々ですが、共通して食欲がなくなるという問題があります。
うさぎにとって食欲の低下は非常に危険な状態で、腸の中で毛玉が詰まる腸閉塞など急性的なものは緊急の手術が必要になることもあり、早めに病院にいく必要があります。
毛球症とは
消化管うっ滞の中の一つで、毛づくろいをするときなどに抜け毛を飲み込んでしまい、胃の中で固まってしまう病気です。
通常であれば毛を飲み込んでも糞として排出されますが、胃腸の調子が悪いと、ストレスによる必要以上の毛づくろいや、換毛期の大量の抜け毛などによって起こります。
猫や犬などであれば吐き出すことも出来るのですが、うさぎは胃の入り口の筋肉が発達しているため吐くことができません。
糞に毛が混じっていると危険と言われますが、ちゃんと毛が排出されている状態で問題なく、それだけ飲み込んでいるので胃腸に問題が起きた時に危険ですよと言う意味です。
毛球症の初期症状とも言え、ブラッシングをこまめに行うことで予防できますが、根本的には胃腸の調子を整えるため餌に気を遣わないといけないことを覚えておきましょう。
消化管うっ滞の危険性は?
病院に行けば問題なく治ることが多いですが、自然治癒に任せるなど放置してしまうと死亡するリスクは一気に高くなります。
うさぎは栄養価の低い植物を腸内細菌の力を借りて効率よく吸収していますが、何らかの理由で腸に食べ物が届かないと、胃腸の動きが悪くなることによって腸内細菌のバランスが崩れ、悪玉菌が多くなります。
悪玉菌はガスや毒素を作り出し、ガスが胃腸に貯まることによってさらに食欲が低下したり、毒素による内臓へのダメージによって下痢に繋がります。
食べ物を食べない時期が長く続くと、便が停滞して固まりになる盲腸便秘や、足りない栄養を肝臓が補おうとすることで余分な脂肪が肝臓に蓄積する脂肪肝にもなるでしょう。
最初はただのストレスでも、たった数日でこれだけの症状に繋がっていくこともあり、手術が必要な緊急の場合もあるため、すぐに病院に行くのが無難です。
消化管うっ滞(毛球症)の症状やサイン
消化管うっ滞は総称なので、その時の状態によって症状も異なってきますが、共通して食欲が無くなるというサインがあります。
初期症状は気づきにくく、重度になると明らかにぐったりとしてきますが、初期症状からあっという間です。
よくある症状
- 食欲が無くなって水ばかり飲む
- 糞が小さい、もしくは出ない
- 粘膜のついた軟便が出る、もしくは下痢っぽい
重症な場合
- うずくまって歯ぎしり
- お腹が張って触られるのを嫌がる
- 血尿が出る
- 明らかに元気が無くなり、呼吸が荒く、震えるように横になっている
うさぎは身体の不調を隠すため、前日までは元気に走り回る様子も見れたのに突然食べない状態が続くという場合もあり、少しでも怪しいと思ったら消化管うっ滞かどうか悩む前に獣医師に相談しましょう。
消化管うっ滞(毛球症)の原因
主な原因は繊維質の不足やでんぷん質の過剰摂取、また毛の飲み込みによる胃腸の働きの低下ですが、その他にも「え!?こんなことで!?」と言う原因の場合もあります。
うさぎは様々な事からストレスを受け、その結果胃腸の調子を悪くすることもあります。
胃腸の働きを低下させる原因
- 繊維質が不足している
- でんぷん質の過剰摂取
- 歯が伸びすぎて食欲を無くす
- 運動不足によって腸の働きが弱くなる
ストレスから胃腸に影響を与える原因
- 夏の暑さや冬の寒さなどの温度変化
- ケージの場所の移動
- 餌の種類の変更
家の近くで工事が始まってそのストレスから体調を崩したと言う話もありますし、ストレスから必要以上に毛づくろいをして悪化させることもあるでしょう。
それだけ簡単になる可能性があり、最初はちょっとした理由でも、食べないことによって様々な症状が連鎖して行く悪循環があるため注意しましょう。
頻繁に繰り返す
消化管うっ滞を繰り返す場合、その子の特徴もあるかもしれませんが、殆どの場合は根本的な原因が解決されてないことにあります。
与えている餌に問題はないか、最近変えた事・変わった事はないか、運動不足になってないか、ブラッシングは充分にできているか、問題ないと思っても一度疑ってみましょう。
消化管うっ滞は身近な病気ではありますが、頻繁になるようなものでは無く、再発する頻度が高いようであれば必ずどこかに原因が隠されています。
消化管うっ滞にならないために気を遣っているからこそ、薬やサプリメントがストレスになっているかもしれません。獣医師に一度相談してみるのが良いでしょう。
消化管うっ滞(毛球症)の対策や予防法
消化管うっ滞や毛球症対策として一番効果的なのが食べ物に気を遣う事です。
毛球症予防としては小まめなブラッシングも効果的ですが、胃腸の調子が良ければ毛を飲み込んでしまっても自然に排出されます。
それぞれの年齢に合わせて適切な食事を与えられていない、おやつは与え過ぎている場合には改善するようにしましょう。ただし、いきなり餌を変えても腸のバランスが崩れるので少しずつ変える必要があります。
運動することによって胃腸が動き、消化が促進されるので、運動不足にも注意し、出来れば毎日ケージの外に出してあげて下さい。
食べ物
ペレットは粗繊維が多く、タンパク質の少ないものを選び、牧草は粗繊維の多いチモシーをいつでも食べられるように与えてあげて下さい。
消化を促す酵素を持つパイナップルやパパイヤをおやつとして与えても良いでしょう。
セロリなどの食物繊維の多い野菜は消化に良いですが、キャベツなど水分の多い野菜は下痢の原因になる場合もあります。
りんごやバナナも沢山食べるからといってあげすぎると糖の取りすぎで胃腸の調子が乱れる場合があるので注意しましょう。
年齢によっても変わってくるので、詳しくは【年齢別】うさぎのエサやり方法と適切な量をご覧下さい。
サプリメントや薬
サプリメントを与える場合は乳酸菌やビフィズス菌を与えると良いと言われていますが、健康体であれば与える必要がない場合が殆どです。
どれだけ効果があるのかも不明確で、与えすぎても吸収されずに排出されると言われる場合もあります。
主食となる牧草とペレットをしっかりと食べさせることを第一に考え、サプリメントはあくまで補助的に効果があれば良いなと言う気持ちで使うのが良いでしょう。
他にも納豆菌は毛を構成するでんぷん質を分解するので毛球症への効果が期待できますし、パイナップル酵素やパパイン酵素なども消化を助けます。
獣医師に相談しながらその子にあったサプリメントを色々試して探すのも良いでしょう。
消化管うっ滞(毛球症)の応急処置や対処法
万が一、消化管うっ滞や毛球症の疑いがある場合にはどうすれば良いのでしょうか。
基本的にはすぐ病院で獣医師に相談して検査し、適切な処置を受けるのが一番でしょう。
しかし、自宅や動物病院の場所によっては夜中に異変に気付き病院に向かうことができない場合や、食欲がないけど食べないわけじゃなく緊急性がない場合もあります。
うさぎが丸1日何も食べない時は重症で危険な状態の為、目安として12時間程度何も食べないか、朝晩連続して食べる量がいつもより少ない場合に病院に行くと良いでしょう。
記載している内容は、あくまで病院に行くまでの応急処置であり、消化管うっ滞(毛球症)の恐れがある初期段階での対処法だということは忘れずに読んで頂きたいと思います。
まずは病院以外ありえない
うさぎは体調不良を隠す動物なので、飼い主さんが気付いた時にはかなり病気が進行している可能性が高くなります。
飼い主さんが出来ることは限られており、重度な場合、時間が経てば経つほど危険であることを忘れてはいけません。
消化管うっ滞は消化系の不調の総称であり、場合によって餌や水を与えた方が良いかが変わってくる場合もあります。
夜間診療を行ってくれる病院はあるはずですし、遠い場合や時間外でも電話で相談に乗ってくれる病院もあります。まずは電話してみて病院の判断を仰ぐようにしましょう。
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餌や水は与えて良いか
場合によって餌や水を与えて良いかどうか変わってくるため、まずは病院の指示を仰ぐようにしてください。
水分を与えて良い場合、うさぎ用のポカリであるアクアコールは吸収が良いですし、食欲のないうさぎでも好きなジュースであれば飲んでくれる場合があります。
餌を与えて良い場合はなんでも良いので食べさせる必要があり、大好きなリンゴやおやつでも構いませんし、強制給餌を行う必要が出てくる場合もあります。
もしものために常備しておくと良いですが、餌や水を与えて良いか確認する際に、念のためアクアコールやジュースでも良いか確認しておくようにしましょう。
マッサージで排泄を促す
お腹をマッサージすると胃腸の働きを促すことができ、排出を促すことができます。
人がまぶたを触って気持ちいいと思う程度の指圧で円を描くようにマッサージしましょう。
マッサージに限らず背中や頭を撫でてやるだけで少し元気が出て動いて腸を動かすきっかけになる場合もあります。
ただし、嫌がる場合は無理に行うとストレスになることがありますので、素人が行う分にはやめておいた方が良いでしょう。
お腹を温めて排泄を促す
人間もお腹が痛い時はお腹に手をあてて温める事で腸の動きを促進しますよね。
うさぎの場合もお腹が冷えている場合、腸の動きが弱くなってしまうので、ヒーターやカイロを使ってお腹を温めることは有効です。
カイロは低温やけどの恐れもあるので、冬にも使えるペット用ヒーターを準備しておくと良いでしょう。ケージ内に設置すればうさぎがお腹を乗せてくれるはずです。
薬は与えても良いか
薬を与えないと危ない状況は間違いなく病院にすぐにでも行った方が良い状況です。
抗生物質は病気を治す目的で使われますが、与え方によってはうさぎの体内で毒性を発揮してしまう可能性もあります。
ラキサトーンやプリンペラン、ガスピタンなどの飲み薬がネット上でオススメされている場合もありますが、あくまでそのうさぎにたまたま良かっただけの可能性もあります。
獣医師に処方してもらったもの、もしくは獣医師に許可を取ってその子にあった用法や用量を確認した場合に使うようにしましょう。
消化管うっ滞(毛球症)の治療法
病院でどのような治療が行われるのか把握しておくことで、病院に行く重要性や、治療に納得できない場合のセカンドオピニオンに相談する基準になるかと思います。
ただし、その子の症状や検査結果によっては違う治療法が取られる場合もありますし、あくまで参考程度にしていだければと思います。
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病院での検査から回復までの流れ
触診やレントゲン検査、飼い主さんからの話を聞いて、まずは状況と原因を確認します。
腸内環境の状態が分かれば、状況に合わせた整腸剤や食欲増進剤、痛み止めの注射や点滴が行われ、軽度の場合は2〜3時間もすれば治ることも多いです。
毛球症や腸閉塞の場合など、緊急を要する場合には外科手術によって原因となっているものを取り除きます。
手術を行った場合は状況によっては入院もありえますが、あまり多くはないでしょう。
点滴や手術などの治療を行った後も、食欲が戻って糞をするまでは完治とは言えず、とにかく栄養を取らないといけないので強制給餌を行うこともあります。
治療期間や治らない場合について
基本的には病院に行けば2〜3時間程度で回復しますが、うっ滞のタイムリミットは2〜3日と言われており、この中には治療後の食べるようになるまでの期間も含まれます。
治療を受けても安心せず経過を見守り、治らないようであれば再度受診しましょう。
手術を行った場合には、体力が戻るまでになりますので治療期間が1週間程度かかる場合もあります。
治療を受けている場合は回復までになんでも良いので食べさせるよう指示を受けることが多いと思いますので、果物やアクアコール、強制給餌などを行うようにしましょう。
治療費や手術費用について
治療費用は病院や治し方によって様々ですが、基本的には軽度の場合5,000〜10,000円程度、重度の場合60,000〜110,000円程度はかかると思っていただければと思います。
大体の料金は下記の様になりますが、値段は病院によって決められるため参考程度に。
診察料:1,000円程度
レントゲン検査:4,000円程度
皮下注射:2,000円程度
皮下点滴:2,000円程度
手術費用:50,000〜100,000円程度
これらの治療費が安いと見るか高いと見るか人それぞれだと思いますが、ここをケチって家庭療法に頼った結果うさぎを死亡させてしまった場合のことを考えると安いと思います。
ペット保険を適用した場合
どの程度の負担が軽減できるかは保険やプランによって変わってきますが、7割程度を負担してくれる場合が多いです。
軽度の場合は3,500〜7,000円程度を負担してもらうことが出来、自己負担額は1,500〜3,000円程度まで抑えることが出来ます。
手術を行うような重度の場合は、42,000〜77,000円程度を負担してもらうことが出来るので、自己負担額は18,000〜33,000円まで抑えることが出来、かなり楽になるでしょう。
ペット保険に加入しておいた方がお得になるかは場合によりますが、ちょっとでも気になったら受診した方が良いうさぎの場合、気後れしないために入るという考え方もあります。
資料請求だけでも行い、支出として許せる範囲なのかどうか一度確認しておくようにしましょう。
うさぎのペット保険は数が少ないうえに、2~3歳までしか入れないことがほとんどです。
高齢になり病院のお世話になることが増えてから検討しても、入ることができません。
実際にペット保険に入っていなかったうさぎ店長の実体験記事も掲載しています。
気になる方はうさぎにペット保険は必要か?実体験から得たポイント3つもご覧ください。
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